Z世代の「お守りアイテム」携帯と「気分直し」へのシフト
調査の結果、Z世代の53.5%が外出先で気分を整えるためのアイテム、いわゆる「お守りアイテム」を持ち歩いていることが判明しました。さらに、外出先でのスキマ時間の過ごし方では、「気分直し」の行動を選択した人が53.3%に達し、「メイク直し」行動の39.4%を上回りました。この傾向は、外見を整える行動に加え、日常の中で気分を整える行動が重視されていることを示唆しています。
ポーチの中身にも変化が見られ、従来のコスメなどの「メイク直し」アイテムに代わり、香りや手触りなど五感で気分を切り替える「気分直し」アイテムの携帯が広がり始めています。
デジタルネイティブ世代の悩みと「フラット」志向
Z世代(18~29歳)の22.4%が「常に感じる」「頻繁に感じる」と回答し、他世代(10.6%)の2倍以上がSNS疲れを実感していることが分かりました。

感情の在り方についても調査したところ、Z世代の約4割(41.5%)が「感情の起伏が少ないフラットな状態でいたい」と回答し、約5割(47.3%)が「自分の機嫌を自分でコントロールしたい」と考えていることが明らかになりました。これは、気分が揺れやすい現代において、外部要因に頼らず自分自身でご機嫌を整えたいという意識が広がっていることを示しています。


Z世代が実践する「ご機嫌お守り行動」
自分のご機嫌を守るためにZ世代が実践している行動として、1位は「好きなお菓子・ごはんを食べる(55.6%)」、2位は「好きな音楽を聴く(52.3%)」、3位は「好きな趣味や推し活に没頭する(48.1%)」となりました。これらの行動は、味・音・没頭感など五感に直接働きかける体験であり、感覚を通じた瞬時の気分リセットがZ世代のご機嫌キープの鍵となっていると推察されます。

自分の気分を整え、機嫌を保つためにポーチに入れて持ち歩く「お守りアイテム」については、Z世代の5割以上(53.5%)が携帯していることが判明しました。

ポーチの中身の変化:「盛り系」から「守り系」へ
30~59歳の大人世代が10~20代の頃に持ち歩いていたポーチの中身と比較すると、現代のZ世代のポーチには明確な変化が見られます。
メイク用品やヘアケア用品・鏡などの「メイク直し/“盛り系”アイテム」の保有率は、過去の10~20代が68.7%であったのに対し、現代のZ世代は53.1%と減少しています。一方で、現代のZ世代のポーチには、「アロマグッズ」や「ストレス解消グッズ」、「推しグッズ」といった、香りや手触りなど五感体験で心を癒す「気分直し/“守り系”アイテム」の保有率が増加しています。このことから、ポーチの中身が「自分を“盛る”ためのアイテム」から「自分の心を“守る”ためのアイテム」へと変化していることが示唆されます。

外出先でのスキマ時間についても、「メイク直し」行動を選択した人が39.4%であったのに対し、「気分直し」行動を選択した人は53.3%にのぼりました。これは、外見を整える時間よりも内面を整える時間を優先する傾向が強まっていることを示しています。

若者研究家が解説するZ世代の価値観トレンド
若者研究家でありマーケティングアナリストの原田曜平氏(芝浦工業大学 デザイン工学部 教授)は、Z世代を取り巻く環境と価値観の変容について解説しています。

原田氏によると、Z世代は従来の大きな悩みに加え、SNSの普及やリモート会議の増加などにより、日々「小さなストレス」にさらされています。常に他者からの見え方に気を配る必要があり、「心の疲労骨折」を防ぐために、気分の起伏を少なくし「ハイテンション」ではなく「フラット」な状態を保つことを理想としていると分析しています。
彼らは「自分の機嫌は自分で守る」ことを処世術とし、デジタルデトックス、人との距離を意図的に取る、ささやかな贅沢を楽しむ、五感に訴えるグッズでリフレッシュするなど、様々な「気分整え行動」を日常に組み込んでいます。
「お守りアイテム」は、嗅覚・味覚・視覚・触感など五感に働きかけ、即時に気分を切り替える「ご機嫌への最短ルート」として機能しています。推しのぬいぐるみやアクスタ、香り付きシュシュ、多種多様なグミなどがその例です。ポーチの中身が「自分を“盛る”ためのツール」から「自分の心を“守る”ツール」へと変化している背景には、日用品が心の領域に踏み込み、外見のエチケットよりも内面の満足を重視する現代の若者のトレンドがあると指摘しています。
まとめ
今回の調査により、現代のZ世代は、日々の多様なストレス環境の中で、自身の気分の揺れと向き合いながら生活していることが明らかになりました。気分を大きく高めることよりも、フラットな状態を保ち、自分で自分の気分を整えたいという意識が広がっています。この背景から、香りやデザイン、手触りなど五感に働きかけ、気分をそっと切り替えるアイテムを「お守り」のように持ち歩く行動が定着し、「メイク直し」から「気分直し」へとポーチの中身が変化しています。これは、外見のケアに加えて、内面の状態を整えることが日常の中で重視されるようになってきていることを示唆しています。今後、五感を通じて日常的に気分を整えるアイテムが、より幅広い領域へと拡大していく可能性が考えられます。
サンスターグループは、ハミガキのような日常的に手に取る製品が、五感に働きかけ、揺れやすい気分を整える「お守りのような存在」になれると信じており、オーラルケアを衛生習慣だけでなく、生活者の心に寄り添う新しい価値へと進化させることで、人々の心身の健康に貢献することを目指しています。


